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こんにちは須藤武美です

レンジャー訓練の中止を求める板橋のとりくみについて

 

 6月12日、陸上自衛隊による「レンジャー訓練」が実施されました。その状況は、新聞、テレビで「沿道では、市民グループが武器を持った行進に反対するシュプレヒコールを上げる一方、日の丸を振る人たちもおり、騒然とした」(東京新聞12日夕刊)などと報道されました。


 
 市民が我 がこととして立ち上がった


 この日私は、朝8時から、都営三田線西台駅前で、「レンジャー訓練の中止を求める板橋実行委員会」(5月25日に区労連、土建、新婦人、9条の会、共産党など9団体で結成)がとりくんだ宣伝行動に参加しました。この宣伝では、21人が次々と訓練の中止を求めてリレートークしました。

 82歳の女性は「戦争を体験した者として、戦争につながる訓練は絶対やってほしくない」と語り、新婦人支部長は「平和な日本でなぜ軍事訓練をしなくてはいけないのか」と涙ながらに訴えました。
 取材に来たジャーナリストの斎藤貴男さんもマイクを握り、「自衛隊が米軍と一緒に戦争できる国にすることを示す行為だ」と批判しました。
 共産党の田村智子参議院議員は「十分な食事も睡眠も与えられずに人殺しの訓練をしてきた隊員が、街に入っていくのは断固として許さない」と訴えました。

 私は、高齢者、青年、子どもをもつ若いお母さん、9条の会の会員など次々とマイクを手にとる姿を見て、東京の市街地での軍事訓練が行われることを、多くの市民が自分の問題として立ち上がった、と実感しました。



 「被災地支援ありがとう。でも市街地での軍事訓練はやめて!」をかかげ


 自衛隊は、東日本大震災の被災地支援で大きな役割を果たしました。自衛隊ならではの役割を果たしたとも思います。被災地のみなさんが感謝するのは当然です。その自衛隊が市街地で災害対策の訓練をすることは必要なことだ、という声が少なからず聞かれました。

 しかし、自衛隊の板橋区長にたいする通知にあるように、今度の訓練は「レンジャー訓練」で、迷彩服で、顔には塗装を施し、小銃、銃剣を携行し、2列の隊列を編成、市街地を徒歩行進訓練するというものでした。明らかに武装した自衛官の軍事訓練にほかなりません。
 説明会で防衛省の担当者も「災害対策にも役立つ」といいながら、3ヵ月にわたるレンジャー部隊養成訓練の一環であるとはっきりと認めています。災害対策を目的にした訓練ならば、迷彩服で銃剣をもち、疲労困憊の状況で行なう必要がないことは明らかです。

 国防の任務を果たすための訓練は必要だという意見もあります。そういう思いの方からも、保育園や学校の門前、保育園児の散歩道を武装して行進して、安全は保てるのか、子どもたちに影響はないか、と不安の声が寄せられました。警察に、先導して交通整理をしてほしいという思いでは自衛隊関係者とも一致していたと思います。

 12日の宣伝では、私たちは「被災地支援ありがとう。でも市街地での軍事訓練はやめて!」のスローガンをかかげて、行進訓練隊を迎えました。



 自衛隊は当初の計画の変更を余儀なくされた


 板橋実行委員会は、こうした立場で運動をすすめました。防衛省、陸上自衛隊練馬駐屯地、警察、板橋区にたいする要請と交渉、また区内主要駅頭での宣伝、行進沿線住民へのビラ配布を行ないました。そうした運動を通して、住民の不安の思い、訓練を中止してほしいとの声が関係機関に届きました。住民からは訓練中止の仮処分申請も裁判所に提出されました。

 こうしたとりくみが、自衛隊の計画変更などの変化をつくり出しました。
 自衛隊は、①随行する誘導員を約10人から倍増する(実際には24人になった)、②隊列は2列から1列にする、③練馬北町商店街はルートからはずす、という変更をおこないました。安全に相当配慮したといえます。

 そして6月2日になって、急遽住民説明会を行なうと連絡してきました。6月6日、7日、8日に多くの住民が参加し、それぞれの思いを連隊長をはじめとする第一普通科連隊幹部に伝えました。
 当日にも変更が明らかになりました。レンジャー部隊の訓練生はヘリコプターで荒川河川敷に降着する計画でしたが、実際はトラックでの到着となりました。

 訓練は中止させられませんでしたが、住民の反撃が大きく押し返したことは明らかです。



 「陸自武装隊員 市街地てくてく」 「目的わかんないね」・・・ 


 東京新聞(13日朝刊)は、武装行進訓練に同行取材した記者のレポートを掲載しました。
 「さっさと歩くと思ったら、子どもの遠足みたい」「コスプレとか、パフォーマンスっぽい。これが訓練なの?」「目的がよく分かんないね」といった住民の声を伝えながら、「整然と黙ってゆっくりと行進する姿は”ムカデ競歩”のようだが、異様な光景だ。銃は金属の鈍い輝きを放ち、やはり怖さを実感する」と書いています。

 練馬北町小学校正門前を通過したときには、休み時間の児童たちが「なんかあったの?」と大騒ぎになったことも伝え、「それにしても、なぜ今市街地を歩くのか?陸自側は『緊迫する国際情勢や災害派遣に備えて市街地での行動に慣れる』ためというが、最後まで意図が分からなかった」と結んでいます。


 多くの区民、住民のみなさんと一緒に、今度のレンジャー訓練と区民の運動についてしっかりと検証し、今後のとりくみ生かしていきたいと考えています。
 







 
by sudotakeyosi | 2012-06-13 19:50
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